2013年2月13日水曜日

韓国を食べる・その4

 今年のソルラル(旧正月)での休日は2月9日~11日までであった。土日と重なったため三日間の休みとなった。韓国には振替休日がないのだ。そのため祭日が土日と重なると自然消滅してしまうことになる。この期間韓国人は故郷へと大移動を行う。

 私はソウルへと向かった。
 日本での同僚と元同僚の先生方計6人が休みを利用して遊びに来てくれたのだ。ほとんどが自分より先輩だし、副担をやってくれていた先生もいて、私は久しぶりに落ち着くことができた。
 食べ、飲み、そして語り合った。みんなものすごく多忙にも関わらず、足を運んでくれたことを心から感謝している。私がいくら生意気なことを言っても、どっしりと受けとめてくれるあの度量が自分も欲しいと思った。いつになることやら。先生方の笑顔を見て力が湧いてきた。

 
 休日にカン先生に山に誘われる。
 木を伐り、それを運び乾燥させる。
 私は生まれて初めてチェーンソーを体験した。力がいるし、コツがいる。カン先生の作業を見ていると簡単そうに見えるのだが・・・。木はそう簡単にバラバラにはなってくれない。必死に抵抗してくる。
 
 今度は丸太を斧で割る。
 この作業も難しい。そう簡単には割れてくれない。それでもやっているうちに少しずつコツをつかんでくる。体が全身で学ぼうとしている。
 よしできるようになったぞと思ったときに鈍い音がした。斧の刃の近くの柄が折れて、刃先が吹っ飛んでいった。カン先生に謝ったが、カン先生は「かまわん、かまわん。」と笑っている。
 
 今度は松の剪定。
 カン先生は猿のようにするするするっとあっという間にかなりの高さまで登ってしまう。そしてノコギリで太い枝をどんどん切り落としてくる。それらを下で集めるのが自分の役割だ。
 それにしても何故あんなふうに登れるのだろう。やっぱりあの人は猿だ。でなければ仙人だ。
 
 
 山で生きるのは甘くない。弱い者は山を下りるしかない。
 真冬というのに私は汗だくになって太い枝を運んでいた。自分の生き物としての弱さをつくづくと感じた。カン先生は、松のずっと上の方で涼しい顔をして作業を続けている。レベルが違いすぎる。生き物としてのレベルが・・・。
 
 そんな私を励ますように、新顔の子犬が私の足下にすり寄ってくる。息をきらして作業をする私を彼女は不思議そうに眺めている。
 このメスの子犬とはすぐ仲良くなった。だが彼女にはきっと分かるのだろうな。自分とカン先生の生き物としての差を・・・。犬は強い者を見分けるスペシャリストだから。

 

 久しぶりにまた韓国の美味いものを紹介しようと思う。写真では伝わらないかもしれないけど・・・。


 まず麺類から。
 これはフェネンミョン。
 エビだのタコだのヒラメだのタイだのいろいろな刺身が入っている。よくかき混ぜて食べる。外国科の先生方がご馳走してくれた。地元にある専門店で食す。美味い。麺のお代わり自由。



 ミルミョン。
 釜山の老舗で食す。これに熱々の牛骨スープが付いてくる。冷たいミルミョンを食べた後、何故だか熱々の牛骨スープがやたらと合う。不思議だ。




 これはスジェビという。
 幅広の麺がちぎってある。スープはやたらと辛かったが、食後は体が中から温まってきた。カン先生にご馳走になる。カン先生によると、子供の頃よくおやつ代わりに食べていたとのこと。これを子供のおやつにするとは・・・流石韓国。



 ヒラメやタイなどの刺身。
 口の中でとろける。こうやって冷やした石の上に盛りつけて出されることもある。外国科の先生方にご馳走になった。



 これは蒸しパンなんだけど、よくこうやって職員室の机の上に誰かが置いておいてくれる。生徒の保護者などが持ってきてくれたりする。まだ温かくて美味しい。



 おでん。
 韓国のおでんは日本とはちょっと違う。スープの味も違う。よく屋台の周りで立ったまま食べる。冬は体が温まっていい。



 チョッパル。
 いわゆる豚足である。私は市場でいつもこれを買う。サンチェなどの野菜に巻いて食べても美味い。ビールや焼酎がとても合う。



 サムギョプサル。
 豚の三枚肉のスライス。余分な脂をとばしてカリッと焼いて食す。これもビールや焼酎によく合う。この時は生徒指導の先生にご馳走になった。



 ちょっとお酒のことを・・・。
 マッコリは必ず韓国で飲むべし。生マッコリは日本で飲むマッコリと味が全く違う。これは誰もがそう言う。何が違うかっていうと、韓国で飲むマッコリの方が断然美味いのだ。もうそれだけしか言えない。日本に帰ったらもうマッコリは絶対に飲まない。マッコリが飲みたくなり、再び韓国に来る日本人が多いのも頷ける。何故あんなにも味が違うのだろう?



 アワビ粥。
 釜山の済州屋で。アワビなんだから、美味いのはあたりまえか・・・。



 チュオタン。
 ドジョウをすりつぶしてスープにしたもの。癖のある味。やみつきになる人がいるのもわかる。私もその後、いろいろな土地のチュオタンを食べることになる。
 この時は物理の先生がご馳走してくれた。




 上の二枚の写真はホンオフェ。
 珍味中の珍味と言われる。エイを壺の中で発酵させたもの。食べたときに強烈なアンモニア臭が口中に広がる。「駅の汚い便所」と表現する人もいるほどだ。子供は絶対に食べられないだろう。
 焼酎をまず一口ぐっと飲み、これを口の中に放り込む。強烈なパンチを口中にくらう。だがその後になんとも言葉では表現できない味が広がるのだ。

 この日は機械科の先生方にご馳走になった。なんとホンオフェ専門店を一日に二件はしごしたのだ。ありえない。

 一軒目はまず上の写真の店に行った。ところが機械科の先生方は「これはダメだ。」「なんだこれは。」「店長を呼べ。」「許さんぞ。」とものすごく文句を言った。ボディービルダーのような体格をした店長は何やらやたら言い訳をしていた。

 怒って店を出た機械科の先生達に私もついていく。しばらく歩いて腹をならした後、なんと再びタクシーに乗り別の店に行ったのだ。
 だが、私にも分かった。二件目の方が断然美味い。アンモニアのパンチがとても上品なのだ。気品がある。品格がある「駅の汚い便所」といったところか。
 いつか食べてみて下さい。

 
 それではまた。しっかり食べて元気にやっていきましょう。お互いに。

 

3 件のコメント:

tomy さんのコメント...

どれも美味しそうですね~。
やっぱり食文化の豊かな国はいいなあ。
日本に帰って美味しいお魚を食べるのが楽しみです。

帰国まで秒読みですね。
荷物の送料をできるだけ抑えたいのですが、愛着のあるものや日本で入手しにくいものは持って帰りたいので、段ボール箱の数が増えていきます。

健父 さんのコメント...

ホントもうすぐ帰国なんですねぇ。
私も全ての授業を終了し、荷造りをしなくちゃなぁと思いながら、なかなか手がつけられない状態です。

ドイツなんかだといろいろとおもしろいものがあるんでしょうねぇ。
こちら韓国のものは全て日本で手に入るものばかりなので。

自分の場合は買ったものなどは全て誰かにあげたり、学校に残していこうと思っております。
生徒らにもずいぶんいろいろとあげました。

それでも段ボール4箱くらいになるかな。日本に送る荷物は。
お互いめげずに梱包頑張りましょう。

takumi さんのコメント...

初めまして。
日本テレビで番組制作をしているIVSテレビの原口と申します。
私が担当する番組で「エイを捕獲してホンオフェを作る」という内容の放送を予定しています。
そのオンエアーの際に、「ホンオフェとは?」の説明をする予定です。
その際にこの記事に掲載されているホンオフェの画像を使用させて頂けないでしょうか?
番組の詳細などは追ってメールなどでご連絡させて頂ければと思います。
お忙しいとことは思いますが、ご検討のほどよろしくお願いします。
*使用させて頂ける場合、元データを送って頂けると大変助かります。