12月19日月曜日、朝、いつもの食堂で朝ご飯を食べているとき「金正日総書記死去」のニュースがながれた。食堂のアジュンマ(おばさん)もゴミ清掃員のアジョッシ(おじさん)達もニュースを見入っていた。朝鮮半島の歴史が変わる。動く。この歴史の転換期に朝鮮半島に暮らしていることに運命を感じる。しっかりと現場の空気を味わいたいと思っている。
一人は美術の先生、小柄だがものすごいオーラを発している。ファッションも個性的だ。笑い方が印象的でクククケケケケケーと大声で笑う。私にはハロー、センキューといつも英語で声をかけてくる。といってもこの二言だけだが。授業中態度の悪かったらしい複数の生徒らを廊下に正座させ、一人ずつ頭をひっぱたいていたことを目撃したことがある。
もう一人は保健の先生、体格がいい。明らかに運動能力が高そうな雰囲気を醸し出しており、女性版長嶋茂雄といった趣がある。体育の男性教員が肋骨を何本か折った時にも余裕の笑顔で対応していた。このあいだ職員会議の時、一人離れたところで腕を組みふんぞり返っていた。とても迫力があった。
そしてもう一人、1日1000人分の食を支えている食堂長。体格が良く、食の番人といった趣がある。私が昼食をとっているとき、「お口に合うかしら?」とよく聞いてくる。私はたとえ辛さのために舌が痺れていても「おいしいです。」と満面の笑顔で言うことにしている。食堂長のただならぬオーラがそうさせるのだ。だが本当においしいのは事実である。
この三人には学校のみんなが気を遣っているのが何となく分かる。
キム先生は学校中の誰からも好かれている。飲み会や食事会ではいつもキム先生が中心となる。何故かみんなが彼女を囲むように座る。そして校長先生も教頭先生もキム先生と話す時には不自然なほどの笑顔になる。いつもは二人とも鋭い目つきをしているにもかかわらず・・・。生徒にも恐れられ、そして慕われている。授業中寝ている生徒には、頭をたたいたり、耳や頬をつねったり、肩でタックルしたり、後ろに立たせて両手を挙げたままにさせたりする。
車の運転もすごい。私はキム先生の車の後部座席で、何度も天井に頭をぶつけたことがある。道のど真ん中でUターンをくり返す。それも携帯で誰かと話しながら、片手で悠然とやってのける。強面のタクシー運転手の激しいクラクションにもおかまいなしだ。
工業科の男性教員達からも慕われている。工業科の先生で明らかにその筋の風貌をした先生がいるのだが、私とキム先生が歩いている時、その先生が何か声をかけてきた。強面だし声もドスが効いていて恐ろしい。ところがその先生の言葉を聞いたキム先生はいきなりその人のケツを蹴り上げたのだ。その「韓国マフィア」のような工業の先生は悲鳴をあげていた。だが明らかにその先生もキム先生のことが大好きなのである。
飲み会の時、「この学校のボスはあんたの隣にいる人だから。」とみんなが私に向かって言ってきた。みんなから「姉さん」と親しみを込めて言われている。ものすごく世話好きでいつも他人のために親身になって動く。ケチケチしていなくて、太っ腹である。
二人の娘がいるのだが、おもいきり自由に育てている。長女は日本に留学後、フランスに渡りファッションの勉強をしていて、英語、フランス語、日本語が堪能である。次女は宇宙科学を学んでいる。この娘さんとは二度ほど飲む機会があったのだが、「NASAに入るのが夢。」と言ってのけた。彼女ももうすぐフランスに渡るそうだ。・・・二人ともやはりキム先生の血が流れているのだ。
目が輝いていて何故か少女のようなのだ。大人っぽく無く、感情の赴くままに動いている。理性よりも思いが先に走ってしまっているような・・・いや・・・うまく言えない。言葉で表現するのは難しい。
4 件のコメント:
ご無沙汰しています。浅野です。ブログの返信がよくわからず、手探りで今書いています。うまく届いてくれればいいのですが… 北朝鮮のニュースは日本でも大きく取り上げられました。北朝鮮の体制がどうなるのか、韓国にとっては大きな問題ですよね。少しでもいい方向にいけばいいのですが… ところで、「4人の女帝」とはなんだかすごいですねえ。こんなことブログに書いちゃって大丈夫ですか(笑) いろいろ大変なこともあると思いますが、韓国の先生方や生徒たちと頑張ってください!
アサノ先生、お久しぶりです。
元気なことが知れてうれしいです。
REXメンバーそれぞれの国で頑張っておりますのでご安心ください。
東外大で半袖で研修を受けていたのが昨日のことのようですね。
おいしいお酒を飲んでいますか?アサノ先生のことだから鍋や焼き鳥で一杯やっているんでしょうねぇ~。
このブログの存在が学校に知れた時が、自分が去るときだと思っております。特に四人の女帝に知られたらもう帰れないと思っています。
アサノ先生、よいお年を。
「四人の女帝たち」、面白い!
ありがとう!
気をつけてな!
そして楽しまれたし!
この時期は高橋君も忙しいんだろうなぁ~。
お互い同じような仕事しているけど、この仕事ってどれだけやってもきりがないと思わないか?
例えば職人だったら10年やり続けたらなんらかの仕事上の進化があると思う。だが自分にはそれがない。
例えば今回も0からの出発という感じである。なんかものすごく不思議な仕事に感じる。
高橋君、奥さんとおいしいお酒を飲んでください。
またどこかで一杯やろう。
コメントを投稿