2011年10月5日水曜日

祭り

 10月1日より祭りが続いている。水と光の祭りだ。

 夜、川沿いは灯りに包まれる。川に燈が浮かび幻想的な世界が生まれる。たくさんの屋台が出て多くの人で賑わっている。

 工業の先生と生徒指導部長の先生に誘われ、強面の男3人で川沿いを歩く。会話は韓国語と英語のミックスで意思伝達率は60パーセントといったところだ。焼肉とクッパを食べた後、川に浮かんだ仮設レストランまで歩き、干しイカをつまみに生ビールを飲む。
 この工業のカン先生は何かと自分を誘ってくれる。その日も放課後授業を終えて帰宅の準備をしていると突然携帯が鳴ったのだ。韓国語だけでしゃべってくるので内容が全く分からなかったが、ちょうど通りがかった生徒部長のイ先生が代わりに電話に出てくれて車に乗せられたというわけだ。カン先生は「ハートが通じ合っているから、言葉など関係ない。」というようなことを英語でいつも言ってくる。カン先生といると彼の心の広さと温かさが静かに伝わってくる。
 「酒は何が好きなんだ?」と生徒部長のイ先生が聞いてくるので、「ビールです。その次がマッコリ、次が焼酎。」というと、カン先生は静かに笑いながら「一番うまいのは雪山で飲む酒なんだよ。冬になったら行こうな。」と言う。


 向こうの席で黒人が川の流れを見つめながら酒を飲んでいる。この街に来てまだ日本人には一人も出会っていないが、他国の人はちらほらと見かける。市場に出かけるとアジア系の人々が買い物をしていたりする。ジャガイモやサツマイモ、果物なんかを大量に買っているから、たぶんみんなで自炊しているんだろう。きっと稼いだ金は母国の家族に贈り、自分たちは質素な生活をしているんだろう。みんな異国の地で頑張っているのだ。


 川面からの風はもう冷たく感じる。
 2人の先生とそこで別れ、1人川沿いをゆっくり歩く。
 祭りの夜、行き交う人の表情はみな幸せそうに見える。
 与謝野晶子の歌「清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき」をふと思い出す。そういえば生徒の作った短歌、素敵な歌が多かったな。

川沿いを歩くと気持ちが落ち着く。川の流れが自分の中に入ってくるようだ。

6 件のコメント:

末っ子 さんのコメント...

光と水のお祭りかぁ~、ステキですね☆
写真もとても美しい!

同僚の先生の言葉、健父が実習中に生徒に熱弁してたのと同じ(笑)

現地の言葉ではなかなか自分の気持ちをうまく伝えられないけど、表情とか心で通じ合うことができると今実感しています!

この出会いを大切にしていきたいですね!

健父 さんのコメント...

 言葉が通じないといい面もあります。
 それは思いを言葉に左右されず限定されないということです。一人の人間をその人が持っている雰囲気全体から受け止めようとします。これは素敵なことだと自分は思っています。
 だからインドでサドゥ(聖者)の横に黙ったまま座っていたりするのが好きでした。

匿名 さんのコメント...

先日は、お忙しいところ、メール有難うございます。
健先生の言う通り、しっかり今を楽しむ事にしました。

健先生のブログを読ませて頂くと、良い意味で「無」の状態になれます。

韓国の方って、熱くて気持ちにストレートなイメージがあります。

それにしても、韓国料理は美味しそうですね(≧∇≦)

健 さんのコメント...

まぁ若いうちは慌てずのんびりやることです。あとは冒険心を持っていろいろとチャレンジしていけばいいと思います。自分の20代の頃を思い出すと偉そうなことは言えないんだけど。のんびりできる時はのんびりすればいいと思うよ。

pilnamjp さんのコメント...

晋州流燈祭り~見に行きたかったです。
川に流れる光が幻想的で美しいですね。
南江の川沿いも本当に素敵です。^.^

健 さんのコメント...

ハン先生、是非来年の10月には祭りに来てください。なんだかゆったりとしていてとてもいい祭りですよ。